暑い日本から暑いタイへ。路面温度が50度を超える猛暑の中、土曜日の練習走行の出だしは順調だった。タイムは1’35.660で12位。十分にQ1突破はできそうなイメージがあった。中山選手も「走り出しから、ダンパーを換えた効果もあり、レベルが上がっていることを感じ取れた」と好感触を得ていたのだ。
しかし、予選になると状況が変わる。タイムアタック中にシフトダウンでギアが落ちないトラブルが発生し、レーシングスピードで走るのが難しい事態に。不調を抱えながらもアタックを続けた中山選手だったが1’36.369と18位に終わった。この時のQ1突破の13位は1’35.679なので、トラブルがなければQ1突破だった、惜しい!
予選後、ギアを変速させる装置やその周辺に対策を施し決勝に備えた。
日曜日午前中のフリー走行ではトラブルは起こらず、決勝戦での走りに期待を持ちながら本番へ。
決勝レースの序盤は調子が良く、18位からのスタートだったのに11周目には12位までアップ。さらに上が狙えるペースで走っていたのだが、14周目にまたもやギアトラブルが起った。ギアシフトができなくなってしまい、最後はニュートラルから動かなくなったのだ。これではなすすべもなく、コース脇に停まり、リタイヤとなった。
リタイヤは、いつでも悔しく残念なものだが、今回特に強く感じられるのは決勝でのペースが良かったから。中山選手のベストラップは1’36.233で、これはレース序盤に出したタイム。10位に入賞したマシンのそれは1’36.557であり、しかも路面状態が良くなり燃料が軽くなったレース後半のタイムなのだ。「たら、れば」の話はすべきではないが、それにしてもと思わざるを得ないレースだったのだ。
タイでのギアトラブルは、結局ミッション系全体の容量不足から起ったものとわかり対策を済ませて富士に臨んだ。しかし、その富士では、今度は燃料系にトラブルが発生した。
7月の菅生サーキットでのテストに参加した時にも同じようなことが起り、燃料ポンプを取り換えたり、すべての配線をやり直すなど、考えられる限りの措置をしてきた。にもかかわらず再発したのだ。
横Gがかかった時に発生するとのことで、コーナー立ち上がりで十分な加速ができずタイムが伸びないのだ。そんな状況で迎えた予選だが、中山選手は懸命にアタックを続け1’39.299の19位で予選を終了した。
翌日曜日の決勝レースは井出選手がスタートドライバーに。予選後にもメカニックは必死にトラブル対策を施したが、はっきりした原因が不明なため完治したかどうかも今一つ明確にならなかった。この状況でスタートしたが、やはりレース中に症状が出て、順位を維持するのも難しいレースになった。
予定よりやや早い26周目にはピットインし、ドライバー交代と燃料補給を済ませ中山選手がコースに出て行った。ここから15周の間、中山選手は粘ったが事態は好転せず、ついに41周目にコースサイドにクルマを停めリタイヤとなった。
今回の燃料系のトラブルは、考えられるパーツをすべて交換しても直らず、消去法でいくと残りは燃料をコントロールする電子系、もしくはハーネスなどの基幹部品しか疑うところがない状況に。次の鈴鹿1000キロに向け、メーカーなど関係各位の協力を得て原因究明に当たることになった。鈴鹿に向け、ぜひ信頼性を確保して欲しい。