日産自動車がイギリスで生産しヨーロッパ、日本で販売したマイクラ(マーチ)ベースのクーペカブリオレモデル。日本には2007年のオートサロンで初公開され、同年7月から販売が開始された。2010年に予定台数の1500台に達し販売終了となった。日本ではワングレードワンモデルだった。
このクルマをご存じの方は少ないかもしれません。ニッサンが2007年から1500台限定で、イギリスから逆輸入したマイクラC+Cという車種ですが、イギリス生産のマイクラ(マーチの海外呼称)をベースにカブリオレにしたクルマです。それを、ここまでやるかというくらい徹底的にカスタマイズしたのは高橋さん。
もともとニッサンに勤務し、エンジン工場でオペレーターを40年超やってきたそうです。なのでマイクラC+Cをリアルタイムで知ってはいましたが「1500台の限定車で、当時の価格は300万円を少し超えてたかな。普通のマーチの2倍の価格だったからその当時は買えなかった」のですが、たまたま8年ほど前に見つけて購入。クルマいじりが趣味なので、「このマイクラで自分の考えを現実化してみたかった。マーチベースのパーソナルカーだから、それをベースにこうだったらいいのにって思いを基に改造した」とのこと。
実は、このマイクラの前にマーチをベースに作ったのがあるそうですが、「もう20万キロくらい走ったので代替わりしようと。同じようなのを通りたかったけど、オーバーフェンダーを付けるのに3ドアが必要だったからマイクラ」にしたそうです。ちなみに前のマーチは「自分で作ったクルマは捨てられないんだよね」と、駐車場を借りて保管しており、お金がかかることゆえ息子さんからは処分を迫られているのだとか…。
さてオーバーフェンダーですが、全幅は2m越えの201cm。車検証記載の数値です。なぜこうかというと「ただ幅広のタイヤを履きたい、ポルシェみたいにリヤフェンダーを張り出したい、という願望だけで作った(笑)。日本一の幅広車にしたいって。でも今では全幅2mを超える市販車はランボルギーニ以外にはなくなったから、もう少しで世界一(笑)。でも狭い路地は走りたくないよね(笑)」、なんとあっけらかんとした理由であることか。でもそれがいいんですよね。
このマイクラがどれほどすごいかというと、「エンジンにはスーパーチャージャーを付けて、リヤシートのあったところにスピーカーとアンプ。ウファ―からツイーターまでフルレンジをカバーできるセット。リヤのスポイラーはブレーキを踏むと立ち上がるんだよ、エアブレーキ風(笑)」。こだわりのホイールはフロントが9J×18インチ、リヤは11J×18インチ、オフセットは70ミリ超えだそうです。ミッションはシーケンシャルシフトに変えてありますが、「そんな純正品はないから、流用できそうなパーツを探して加工してフィッティングした。マフラーも自作。マクラーレンをまねてあそこに出した(笑)。マフラーはパイプを自分で曲げ加工して合わせたんだ。ちょっとスーパーカー風(笑)」。
高橋さんがすごいのは、これらのカスタマイズに関して「全部、改造申請を行ってきちんと公認を取ってあるんだ。そうしないと車検のたびに元に戻すのは大変だからね。4人乗りを2人乗りに変えちゃったし。公認を取ってるからディーラーにも点検に出せるよ」という点ですね。とはいいながら、取材日には「昨日までなら35GT-Rのシートが付いてたんだけどな。ステアリングもF1風のでね。車検が近いから戻したんだ(笑)」と言うあたり、なかなかユーモアのセンスをお持ちで。
ほかにも細かなところをいろいろいじってありますが、「パーツは大体アップガレージ店で買ってるよ。今付いてるのではスピーカーとかシフトとか。用事がなくてもヒマつぶしに行っちゃう。自宅が厚木なので、厚木店、平塚店、相模原店と八王子店も行きますよ。それから町田の総本店にも。日によっては何店舗かハシゴするときもあるし」と、大のお得意様なのです。パーツを見ながら、探しながら「人がまねできないクルマを考えるんだけど、こういうと『誰がまねしたがるんだ』って言うけどね(笑)」。笑われてもいっこうお構いなし、孤高の道を進んでいます。うらやましい程の悠々自適ぶりですね。
18歳で免許を取って以来、ケンメリのスカイラインを皮切りに130Z、ローレルを経てスカイラインGT-Rには合計で8台に乗ったという。33のGT-Rはツインプレートの重いクラッチだったが、奥さんは苦労しながらこれでお買い物へ。スゴイ!
神奈川県厚木市中依知333-1
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