2ストップ作戦で挑んだ500kmレース
決勝前まで悩んだセットアップが奏功し、2戦目で初ポイント獲得なるか!?
2015 SUPER GT Special Report RD.2 FUJI(5月2日・3日)

開幕戦岡山から1カ月後に迎えた第2戦富士。より良いサスセッティングを求めて試行錯誤は続けられ、 岡山で得た感触を基にセットアップを大きく変えて挑むことになった。
練習走行が十分にはできなかったので、2日の公式練習や予選でも細かな調整を重ねたが、まだライバルたちに比べるとコンマ数秒の差があった。
そして予選後に再びセットアップを変えて迎えたレース本番、ここでようやく戦える感触をつかめたのだ。

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15位と中ほどに埋もれたスタートだったが、15周を過ぎるころからペースアップして順位を上げる。スタートは中山選手。

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第1スティントを長くとる戦略が成功し15位スタートから序盤で順位を上げる。が、フロントサスにトラブル発生!

第2戦富士の決勝は500kmと長丁場のレースになる。ここでは中山友貴選手、マルコアスマー選手に井出有治選手が加わり3名体制で走ることになった。

サスペンションのセットアップではまだ決定打を見つけられていないが、ある程度は方向性を絞れてきた状態で2日の予選を迎えた。予選前の公式練習では3名のドライバーが順次走り、バランス確認や細かなセットアップの調整を重ねた。この時点のベストタイムは1’39.294で16位。予選Q1突破は13位以内だが、公式練習時の13位のタイムは1’39.158で0.136秒の差。ここからさらにセッティングに微調整を加えて、いよいよ予選が始まった。

予選のドライバーは中山選手。計測3周目に1’38.467を出し、練習より0.8秒ほど短縮。この時点では13位とQ1突破のボーダーライン上に。その後、予選の一時中断があり、再開後に再びアタックするも記録更新はならず。結局15位で終わることに。予選13位の タイムは1’38.349なので、わずか0.1秒の壁に泣いてしまった。

現時点でこのマシンの最大の課題はリヤの安定性。オーバーステア傾向を解消できれば、コーナーリングやブレーキングが安定するのでもっと踏んでいけるようになるとのこと。この改善を目指し、決勝ではこれまでとは全く違うセットアップを試すことにした。そして、その効果はあったのだ。

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40周目のピットインでマルコ選手に交代しピットロードを出る18号車。12位でレースに戻る。

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2日の予選ではセッティングが決まらず攻めきれなかった。

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ピットインの作業。ドライバー交代とタイヤ交換、燃料補給を数十秒で行う。

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スタートグリッドに向かう中山選手。

決勝前のフリー走行で、新たなセットアップを施したマシンの感触は良く、スタートドライバーの中山選手も「ライバルと比べてタイム差が一気に縮まった印象」と手応えを感じていた。 また「タイヤにやさしい走りができる」(中山選手)ので、それを活かしたピットストップで上位を狙っていくことになった。

GT3マシンよりコーナリングスピードが速い86MC/V8。しかし15位と中盤でのスタートのため前をブロックされ優位性を活かせない周回が続いたが、SC導入後から徐々にペースアップ。15周目には13位に上がり、ピットインするマシンが増えるにつれ前が空いてくるのでさらにペースアップして行けるようになった。36周目にはコース上で6位までポジションアップし、40周目に予定通りにピットイン。マルコ選手に交代後12位でコースに戻った。

ここまで作戦通りに進んだが、異変が起ったのは49周目だった。マシンの挙動がおかしくなり、突然マルコ選手がピットイン。なんと左フロントのサスペンションアームが折れた!最終コーナーの出口付近で突然起こったらしいが、もし1コーナーや100Rだったら大事故にもなりかねない破損だったので、無事にピットに戻れたのは不幸中の幸いというべきか。

メカニックの懸命な作業でパーツ交換を行ったが、コースに復帰できたときにはトップグループとは約30周ほどの開きが…。しかしデータ収集のために最後まで走りきることになり、引き続きマルコ選手がドライブし、最後に井出選手にバトンを渡した。結果としてUP GARAGE BANDOH86は66周でチェッカーフラッグ。規定の70周に惜しくも4周の不足でリタイヤ扱いに。今回は順位はともかく、入賞はほぼ間違いない状態だったので、本当に惜しいレースになってしまったが、マシンの戦闘力が大きくアップしたことは収穫だった。これなら次はいけます!

ちなみに300クラスの優勝は10番のGAINER TANAX GT-R、500クラスは1番MOTUL AUTECH GT-RとGT-Rが強さを見せたレースだった。

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緊急ピットインで、フロントサスを修理するピットクルー。

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コースサイドからピットの作業を見守る石田代表。「今回のトラブルは予測できないことなのでしょうがない。ポイント圏内に入れそうだっただけに残念」。

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リタイヤの原因となった左フロントのサスペンションアーム。

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今回のグリッドガールはかなちゃそ。

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スタート前のグリッドウォークで。左からマルコ選手、中山選手、うどんちゃんと井出選手。

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決勝スタート前に静岡県警の交通機動隊とパレード。

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ピットウォークでファンの求めに応じてサインする。

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SUPER GTでは初ライブのドリエン。どのレースでも多くのファンが集まってくれます。

 

これを知っていれば3倍楽しめる SUPER GTの基礎知識 Part2

SUPER GTではレースごとに、10位までの入賞者にポイントが与えられる。これを積み重ね年間で最も多くのポイントを獲得したドライバー、チームがチャンピオンとなるのだ。

しかし、1台のクルマがずっと勝ち続けるとレースとしての興味が薄まるので、ウェイトハンディ制が設けられている。これは車両性能を均衡させチームの総合力で競うように、各車両に乗るドライバーのシリーズ成績に応じたウェイトハンデを搭載するルール。ただし最終戦では原則ノーウェイトとなる(開幕戦もノーウェイト)。

2戦目以降は、それまでのレースで獲得したドライバーズポイント、1ポイントを2kgに換算したウェイトハンデを搭載することになり、今回の富士では、開幕戦の岡山で優勝した31番のPRIUS apr GTは20ポイント×2kg=40kg!のウェイトを積んで走った。

(右段は700km以上のレース、別途チームポイントもある)

決勝順位 ポイント
1位 20 25
2位 15 18
3位 11 13
4位 8 10
5位 6 8
6位 5 6
7位 4 5
8位 3 4
9位 2 3
10位 1 2
  • ドライバータイトルは決勝ポイントのみを全戦加算。
  • シリーズ全戦のポイントを有効とする。
  • レースが所定の周回数で行われなかった場合は、規定により得点を変更する。
  • 同ポイントで並んだ場合は、上位入賞回数の多いほうにシリーズタイトルが与えられる。