鈴鹿は1000kmと長距離レースなので、今回はドライバー3名でエントリーした。中山友貴選手とマルコ・アスマー選手、そしてSUPER GT初参戦となるニック・キャシディ選手だ。また、マシンのトラブル対策には、できることをやりきって臨んだ。
そして土曜日の予選。Q1は中山選手が走り1’59.399の5位でQ2進出。この時、トップ31号車は1’59.077なので0.322秒の差だった。Q2はニック選手が走り1’59.487で最終的に8位になった。まだセットアップは完成形ではないとは言え、Q2進出もままならなかったころに比べ、明らかに速さを増しているのだ。
日曜日の決勝レースは中山選手でスタート。弱い雨のため固いコンパウドのウエットタイヤを装着。しかしレースがスタートすると雨は再び強く降り始めたため、思うようにペースが上がらない展開になった。少し順位を落とし12位で周回を重ねる。31周目のピットインでニック選手に交代し、タイヤ交換と給油。40周半ばから雨が止み路面が乾き始めるとニック選手のペースが上がり始め、56周目に2度目のピットイン。ドライタイヤに変えドライバーはマルコ選手に交代。コース上ではアクシデントが発生していたが、62周目にレースが再開された時は11位にアップしていた。
ところが63周目の最終コーナー立ち上がりで突然パワーを失い失速。避け切れなかった後続車が追突し、押されてバリアにヒットしてしまったのだ。自力でピットには戻ったが、ここで勝負は決した。その後、検証のため修復してコースに戻り、最後まで走ってトップと26周差の21位でレースが終わったのだ。だが、5位でQ2進出という収穫があり、マシンが早くなっていることを実感できたレースだった。
菅生でのレースはアップガレージチームだけでなく、多くのチームにとり悪夢だったのではないか。
前戦の鈴鹿でマシンに手応えを感じたが、菅生に向けさらにセットアップを変更して臨んだ。フリー走行でも入念にチェックを行い良い状態で予選を迎えたのだ。Q1は中山選手が走り1’19.783で5位。Q2は、今回初参加の佐々木孝太選手が走り1’19.076で4位とポジションを上げた。ここではQ1を走った8台がコースレコードを更新するというハイレベルな戦い。
過去最高の4位のグリッドからスタートした決勝は、トップグループの4台が順調に後続との差を広げていった。中山選手はオーバーテイクを狙ってはいたものの、一方、5位以下との差は周回ごとに大きくなっていったので、無理をせずタイヤを労わる走りが求められていた。そしてレースは中盤に。
24周目にクラッシュしたマシンがあり、セーフティーカーが導入。この後カオスの29周目がやってきた。レース中盤となり、各マシンはピットインのタイミングを計っていたため、ピットレーンがオープンになったこの周に一斉に戻ってきたのだ。18号車もこのタイミングでピットイ ンし、コースに戻ろうとピットロードに出たその時、出口付近でトラブル発生!なんと身動きの取れないマシン数台が出口をふさいだのだ。コースに出られないマシンでピットロードは大渋滞!これに巻き込まれたマシンは18号車を含めすべて順位を落とし、勝負の権利を失った。コースに戻った時には19位まで下がったが、そこから佐々木選手の頑張りで何とか15位に。
今までで最大のチャンスを掴んだのに…。しかし、2戦連続でQ2進出とマシンに速さが出てきたことは確か。戦略面も含めさらに詰めれば、良い結果が期待できそうだ。
レースを安全にフェアに競うために、セーフティカーや各種の信号旗があるが、これらが、どのような場面でどのように使われるのか、整理してその概略をご紹介しよう。
SUPER GTではローリングスタートを採用しているので、レースの始まりの時にまずセーフティカーの先導でコースを回る。この時は予選で決まった順位のままで周回し、先導車であるセーフティカーがコースを外れ、スタートシグナルが青になったらレース開始となるのだ。
ただしスタートラインが別にあって、そのラインを越えるまでは追越し禁止となる。
レース中にコース上でアクシデントが発生した場合に、競技長の指示によりセーフティカーが出動する。これはコースにいるマシンのスピードをコントロール(つまり遅く)し、アクシデントの後片付けを安全にスムーズに行うための措置。
各マシンはセーフティカーの後に続いて直前の順位を維持して走らなければならい。もし追い越しをするとペナルティが課されることになる。
ただし、セーフティカーはレースのリーダー(1位)の前を走るが、セーフティカーがコースに出るタイミングによっては、必ずしも1位の前に出られないことがある。たとえば10台のレースで8位のマシンの前に出てしまうなどということもあり得るのだ。このような場合は、8位から10位までのマシンはセーフティカーの指示により追い越して1周し、改めて行列の最後尾(つまり7位の後)に付くことができるようになっている。結果として周回遅れになりそうなマシンが集団の後ろに追いつくことができる。
ただSUPER GTでは500クラスと300クラスが混走するので、クラス別に並ぶためにさらに複雑な動きになってくる。
セーフティカー出動時にはピット入口が封鎖され、ピットに戻ることができない。もしピットレーン封鎖中にピットに戻って給油すると、ペナルティストップとして、強制的にピットで指定の秒数ストップしなければならない罰則を受けるのだ。
第5戦鈴鹿では、このペナルティで90秒ものストップを課されたチームがあった。
コースサイドのマーシャルポストで、場面に応じて使用される主な信号旗には以下の種別がある。
アクシデントのためにプラクティスや決勝レースを中止する場合に使われる。各マシンはコース・ホームストレート上に戻って停止、ピットイン中の車両は、そのまま待機になり、追越しも禁止される。
危険を知らせる信号旗。1本提示、1本振動、2本振動の3種類があり、順番に危険度が高いことを知らせる。1本だけが振られているときは、速度を落とし追越しは禁止される。コース上の一部またはコース外に危険個所があることを意味している。
2本同時に振られるときは、速度を大幅に落とし追い越しは禁止。コースが全面的、または部分的に塞がれている個所があるとの意味。またマーシャルがコース上やコースサイドで作業中の場合にも使われる。
前ポストの指示を解除。つまり黄旗の後にこの緑旗のポストを通過した時は、レーシングスピードに戻し追越しても良い。
プラクティス中の場合は、より早いマシンが後方にいて追い越そうとしている、との意味。レース中では周回遅れにされようとしているマシンに示される。この場合、青旗を示されたドライバーは、なるべく早い機会に後続のマシンに追い抜かさせなければならない。
SUPER GTでは2クラスのマシンが混走するが、500クラスに追い越しをさせるために300クラスのマシンに対して青旗が振られることはない。
コース上にセーフティカーや救急車など低速走行する車両がいることを示す。
通称オイルフラッグ。コース上に、オイルなどで滑りやすい状況があることを示す。