クルマ自分流

1月13日から15日まで幕張メッセで開催された「東京オートサロン2023」、その期間中にアップガレージのブースに展示されていたR34GT-RのオーナーはTOMさん。
この展示企画は毎年アップガレージのHPで公募し、応募車のなかからユニークかつ完成度の高いカスタマイズのされたバイクやクルマを紹介するコーナー。今年展示された34GT-Rには、果たしてどのようなストーリーがあるのか伺ってみました。

Photo

鮮やかなベイサイドブルーはカタログモデルにある純正色。確かに発色が良くきれいな色です。

ニッサン スカイラインGT-R(5代目 BNR34型 2000年式)

  • 全長×全幅×全高=4600×1785×1360㎜
  • エンジン=RB26DETT 直列6気筒DOHC24バルブ ターボ
  • 最高出力=280㎰
  • 最大トルク=40.0kgf・m
  • 変速機=6MT
  • 車両重量=1560㎏
  • 駆動方式=4輪駆動

おそらく日本車で一番有名でカリスマ性のある車種。初代のデビューは1969年で、前年の東京モーターショーに出品された「スカイラインGTレーシング仕様」がほぼそのまま市販化された。
第一世代のエンジンはレーシングエンジン直系のS20型。TOMさんのR34型は5代目で1999年に発売開始され2002年まで市販された。スカイラインの名前の付く最後のGT-Rである。
前モデルで不評だったボディサイズをダウンさせ重量配分を改善。車体剛性も大きくアップした。手ごろなサイズのFRスポーツが新車では買えないため、昨今では世界的に人気で、数百万円から数千万円と中古車相場が高騰している。

ガルウイングドアや特異なデザインのフロントフェンダーが目を引くR34のGT-R。ボディカラーのブルーもひときわ鮮やかで、アップガレージのブースでもかなり目立ち、立ち止まってのぞき込んだり写真を撮ってゆく人が多かった展示です。

このGT-RのオーナーはTOMさん。ゴリゴリのクルマフリークかと思いきやそうでもなく「クルマに関心を持つようになったのは大学時代から。R33のスカイラインを買って6,7年くらい乗ってました。最初は普通のクルマって印象しかなかったけど、改造しだしたら面白くなって。そのころGT-Rの存在を知って、GT-R仕様に改造し続けたんです。カーボンのパーツとか色々つけて、今の34のGT-Rみたいなカッコに」作り替えたといったほうが近いくらいにカスタマイズしたそうです。

こうなると「GT-Rはいいなというのと、ワイルドスピードに出てるベイサイドブルーがカッコいいから、これはGT-Rを買うしかない」となったのも必然でしょうか。で、就職してちょっとしてから購入したのが今のクルマ。「探しているときに、ちょっと違うグレードでVIIを見に行ったけどなくて、その店にたまたまこのクルマがあったんです。ボディカラーがメチャクチャきれいなベイサイドブルーだから欲しくなって、バンパーだけニスモにしてこの値段だったら買いたいと言ったら『おおいいよ』となって購入へ」。買ったのは2013年でした。当時でも400万円ほどしたそうですが「悩んだけど思い切って買って良かった。いまじゃ買えない値段になってますから」。ほんとにそうですね、高騰してます。

買ってから念願の改造へ。ホイールはSSRの19インチ、エンジンはこだわりの"RB28"、タービンはTD06ツインで800㎰仕様、さらにはエアサスを組み込み。中でも特筆すべきはガルウイングと、フロントフェンダーなどの外装。この加工や取り付けは全てご自分で作業したとのことで「ガルウイングの加工は、切っては付け切っては付けでフェンダーに干渉しないギリギリの角度に位置決めして取り付け。仕事から帰って夜中に作業」すること1週間でドアが完成とのこと。

フェンダーもご自分でデザイン。「いろいろアイデア出しをするとき、クルマを写真に撮ってそこに書き込んで形を検討」した結果が現在の姿に結実。ここで凄いのは、加工やデザインもそうですが、何よりもオリジナルで気に入ったものを作るんだ、そのためには一切妥協しないという姿勢と、膨大な労力をいとわない熱量の高さ、思いの強さですね。

そもそもここまで好きになったきっかけは、「遅いスタートでしたけど、子供のころからの親の影響はあったかも。父親はZが好きで31時代からずっと乗り継いでますから。子供のころはクルマでいろいろ連れて行ってもらいました。いまは33のZと35GT-Rの2台持ちです。GT-Rになったのは、新しいZがなかなか出ないからしびれを切らして。そのタイミングで私が35のGT-Rを勧めて購入したんですが、でも買ったらZのニューモデルがデビューした(笑)。今でも33のZで通勤してますよ、晴れて気分の良い日はGT-Rなんです」。なるほど、この父にしてこの子ありというか、一種の英才教育ですね。

ところでTOMさんはクルマをネタにインスタをやっており「今はフォロワーが12万人です。YouTubeもやっていますが、こちらは1000人ほどのフォロワーですね」と、情報発信にも熱心なのです(tom garage channelで検索)。「本当はクルマいじりを仕事にしたいくらいなんですけどね」とおっしゃるが、いつか実現すると良いですね。

Photo

TOMさんのこだわりが詰まったエンブレム。「RB26」の「6」の部分を「8」になるようにパテ埋めしてメッキをした苦心の作。

Photo

ガルウイングドアも思いが詰まっています。ちなみに普通に横開きもできる造りになっています。

Photo

リヤはこれから手を入れたい部分。失敗は避けたいので慎重にデザインを考慮中。

Photo

室内はメーターを追加。メータパネルはカーボンのワンオフで作った特注品。

Photo

ホイール・タイヤサイズはフロントが9.5J×19に225/35R19、リヤが11J×19に265/30R19。

Photo

トラストTD06ツインターボに東名2800㏄キット、1000㏄インジェクターなどで組んだ自慢の"RB28"。

Photo

トランク内の一見NOSタンク風は、実はエアサスのタンクなのです。