これまで未体験の100㎏のウエイト搭載
予選から状態が良くQ1はトップ通過、Q2では6位
決勝ではゴール前で逆転し優勝!だが再車検で失格に
2023年のSUPER GTも残り3戦です。今回の菅生では18号車のサクセスウエイトはついに上限の100㎏に。さすがに100㎏は初めての経験ですが、公式練習が始まるとドライバー二人の評価も高く、ウエイトを気にせずに走れたとのこと。期待が高まります。
午後の予選Q1は小林崇志選手が走ります。昼頃に雨が降り路面が濡れたためウエット宣言が出されましたが、予選が始まるときには雨は上がり、徐々に路面が乾いていきます。
18号車のBグループが開始するころは、路面は完全には乾ききっていない、まだら模様の状態でした。このグループはタイヤ選択が分かれ、18号車はスリックタイヤを履きます。小林選手がタイヤに慎重に熱を入れ5周目にアタックし、1‘18.449でトップに立ちます。その後各車のアタックが続きますが、最終的に18号車はQ1をトップで通過しました。
Q2は小出峻選手が走りました。このころには路面は完全にドライになり、ウエイトの軽いクルマが良いタイムを出し始めます。小出選手は5周目に1‘18.472で6位に。明日の決勝グリッドは6番手になりました。ちなみに6番手グリッドは今季最高位のポジション。決勝レースでは大逆転での優勝を目指します。
年間チャンピオンシップのトップで迎えた菅生300kmレース。6番手スタートからのレースなので、ポイントを持ち帰る可能性は高く思えていました。実際、決勝ではレースペースもよく、上位争いができるポジションで周回を重ねていき、34周目の時点ではピットイン0回のグループで2位につけていたのです。
アクシデントが起こったのは500クラスの37周目。最終コーナーを抜けた先で追突があり100号車がバリアに激突してしまいます。これをすぐ後ろで見た18号車小出選手はとっさの判断でピットイン。直後にピットロードが閉鎖され赤旗中断になりました。
鈴鹿の再来となる絶妙のタイミングでのピットインです。小林選手に交代して復帰した時には全体3位に上昇。以後は小林選手が安定して速く、50周半ばには2位に。最終ラップのしかもゴール手前100mほどからトップのクルマが突如ペースダウンしたため、小林選手はゴールライン手前で抜き去りトップでフィニッシュしたのです。優勝です!
逆転優勝を喜び表彰式もありましたが、その直後に暗転。再車検で最低地上高の不足を指摘され失格に。規定に対してわずかコンマ数ミリの差ですが、残念ながら、事実として不足しているので受け入れなければならない結果です。こんなことも起こるのか、という衝撃的な結末でした。
予選は低い路面温度に悩まされながらも9番グリッドに
チャンピオン争いに残るため表彰台を狙ったが
14周目に追突されて勝負権を失ってしまった
残り2戦となったオートポリス、今回からサクセスウエイトが半減されるルールのため、18号車は60㎏になりました。
予選日の14日(土)の朝は雨でしたが、GTが練習走行を始める9時過ぎには路面はほぼドライに。しかし日照がなかったため路面温度が上がらず、タイヤをどう働かせるかが課題です。18号車も例外ではなく、練習走行ではペースが上がりませんでしたが、午後の予選に向けいろいろ見直しを図りました。
予選Q1はBグループで、ドライバーは小出峻選手。開始と同時にコースに入り慎重にタイヤを温めてアタックに。この時点のトップタイムは1’42.694と1’42秒台が出ていましたが、小出選手は1‘43.437で3番手に喰い込み、このままQ1を突破しました。
Q2は小林選手が担当。A,Bグループの上位8台、合計16台によるP.P.争いです。開始と同時に各車スタート。何周かタイヤを温めた後アタック開始。ここでは初めにアタックしたクルマが1‘42.141とコースレコードまでコンマ1秒に迫る好タイムを出しました。これに続くクルマも1’43秒台前半で続きます。18号車は1‘43.880で4番手に入りましたが、このあと数台に越されて9番手で落ち着きました。
日曜日の決勝レーススタートは13時30分。地元大分県警の白バイやパトカーの先導によるパレードランが済むとSC先導でフォーメイションラップ。決勝レースの始まりです。
全車がきれいにスタートし1コーナーに殺到。が、大きなトラブルもなくレースが始まりました。18号車のスタートドライバーは小出峻選手。9番手からのスタートをそつなくこなし序盤は順位をキープしていきます。上位で早めのピットインを行うチームが出て、その分順位が上がり8位でラップを重ねます。
異変が起きたのは14周目。1コーナーで後続のクルマに押されてしまいコースアウト、グラベルで止まってしまいました。FCYが宣言され18号車は救出されましたが、この時点でトップ集団とは1ラップ以上の開きが出て、ポイントは絶望的に。レース前の時点でトップとは10ポイント差で、残り2レースの頑張り次第ではチャンピオンも夢ではなかったのですが…。
このレースは、幸いにもマシンに大きな損傷はなかったので最後まで走りましたが、結果は17位。ポイントは大差をつけられ今年のチャンピオンレースからは脱落です。しかしまだもてぎの最終戦が残っています。チャンピオンが無理なら年間三度目の優勝だ!
サクセスウエイトはゼロ、ハンディなしのガチンコ勝負
5番手グリッドからのスタートになり
チャンピオンは射程外なので3回目の優勝が目標
いよいよ今季の最終戦となる、モビリティリゾートもてぎでの第8戦がやってきました。この最終戦ではサクセスウエイトがリセットされゼロに。ハンディなしのバトルです。
予選日の11月4日は午前中の天気がすぐれず、朝一は霧がかかり視界が不十分でしたが、昼にかけて日照があり気温が上昇、それに伴い路面温度が30度を超えた時間帯も出ました。午前中の温度ではタイヤが不安要素で、練習走行ではペースが上がらずに苦慮しましたが、それも解消。
午後の予選Q1はBグループ、ドライバーは小林崇志選手です。AグループのQ1ではトップタイムは1‘46.435。これに対しBグループではさらに上を行く争いになり、トップの記録は1‘46.130。これに続いたのが18号車で小林選手は1’46.303を記録して2位で通過。。午前中の練習走行に比べるとクルマの挙動が良く、タイヤの心配も解消したようです。
この勢いでQ2の小出選手もアタック。トップタイムは1‘45.633で、45秒台に突入です。18号車に乗る小出選手は続けて1’46.052とこれも速いタイムで2位に付けましたが、惜しくも後続に越されてしまい5位に。とはいえ決勝では3列目からスタートです。普通に走ってもポイント圏内なのですが「目指すは優勝!表彰台に乗れば十分とか、まったく思っていません!」(小出選手)と、目標はあくまでも優勝!でした。
午前11時半、多少日差しが出た中でのウォームアップでは18号車の調子は良さそうで、2番手タイムを記録。スタートドライバーは小出峻選手が担当です。
決勝レースのスタート。事故はなくクリーンなスタートで始まりました。18号車の小出選手は5位のまま周回していましたが、タイヤが温まってきた5周目には前車を抜いて4位にアップ。しばらくこのポジションをキープしたのち、21周目にピットイン。ここで小林選手に交代しルーチンのメニューをこなします。コースに復帰すると13番手に。ピット時間短縮を狙ってタイヤ無交換やリヤのみ2本交換などの戦術に出るチームも。この作戦で何台かにアンダーカットされてしまいました。
レースが始まるとすぐに小降りですが雨が落ち始め、その後も安定しない天気の中、小林選手は手堅く周回を重ね徐々に順位がアップ。35周目には7位に浮上しました。ここからは一進一退の展開で、最終的には8位でゴール。安定しない天気と低い路面温度に悩まされながらもポイント圏でゴール。目標には届きませんでしたが、この日の条件下では無理のない結果にも思えます。
小林崇志選手がSUPER GTに参戦して100戦を超えた(開幕戦の岡山で100戦目を達成)ことを称える「グレイテッドドライバー」の表彰式が行われ、式ではGTAの坂東正明代表から記念品と花束が贈呈されました。
小林選手は「ここまでこれたのも皆さんの支えがあればこそで、本当にありがたいと思います。100戦は通過点として200戦を目指して頑張りたいと思います」と挨拶しました。
今年は2回優勝したけど、それ以外はポイントが取れなかった。ランキング上位で戦うチームは取りこぼしがないので、我々はまだ改善すべきことが多くある。これを反省材料として来年に向け努力したい。
浮き沈みの激しいシーズンだった。最後は勝って終わりたかったけど、そこは力不足で残念だった。1年間応援していただいたファンの皆さんに感謝しています。
ルーキーイヤーで実りがあったシーズンでした。僕のレース人生の中でホンダさん、アップガレージさんにお世話になって経験を積むことができました。1年間の感謝をしたいです。
今日のピットインのタイミングはタイヤの状態からです。あれでは上位争いはできないだろうと判断してピットインしました。ただ上位のチームはタイヤ無交換などの作戦で浮上を狙ってきたので、そこで差が付きました。路面温度が22度くらいまで下がってタイヤをうまく使えなかった影響が大きかったですね。1年を通して課題が浮き彫りになったシーズンでした。