今年も幕張メッセで東京オートサロン2024が開催されました。
1月12日から3日間の会期中に、アップガレージのブースに展示されていたインテグラに目を引かれた方も多いとおもいます。
一般からの公募で選ばれた展示車で、かなり凝ったカスタマイズが施されていましたが、そのオーナーである小林さんに苦心談などを伺いました。
1985年にクイントインテグラとしてデビュー。リトラクタブルライトを備え、当時は珍しい全グレードがDOHCエンジン搭載というスポーティカ―だった。小林さんのインテグラは1999年式なので、1993年デビューの3代目になり、北米ではアキュラブランドだった。このモデルに採用された丸目4灯のヘッドライトは日本国内では不人気で、1995年のマイチェンで横長のライトに変更されたが、輸出仕様は4灯のままだった。タイプRの追加も1995年だった。
ボンネットフードが外されエンジンなどの機器類がむき出しになったインテグラ。よく見ると左ハンドル!そうです、このクルマはオーナーの小林さんが、ご自分の意図に合わせてアメリカで探して逆輸入したアキュラインテグラなのです。
これまでいろいろなクルマをいじってきた小林さんですが、「最近まではステーションワゴンに乗ってました。次に何かクルマをいじりたいなと思ったとき、2ドアのクーペスタイルが良いなと。ただ2ドアクーペは年々少なくなってきて、現行のラインナップではあまり選べないんです。で、ちょっと古いですがインテグラがカッコ良いと思えたので探し始めました」。そうですね、最近はミニバンとSUVばかりですからね。
インテグラに絞っていろいろ探すうちにたどり着いたのが今のインテグラ。「日本仕様のタイプRは速く走るためのクルマという性格が強いですが、僕は常にゆっくり走りたいほうなんです。アメリカ仕様のGS-Rというグレードは、日本にないサンルーフが付いていて、本革の内装(張り替えてしまったけど)でラグジュアリーな性格のグレードなんです。アメリカにもタイプRはあるけど、デートカー的なキャラに分けられていたこちらのほうがベースとして面白いかなと思いました」。別に速く走るためのカスタムじゃないよという意味で、あえてGS-Rというグレードを選んだそうです。
今の世の中なので、ネットを使えばアメリカの中古車マーケットからでも探し出せます。後は輸入代行業者に依頼して日本へ。2019年のことでした。「現地の価格で1万ドル弱、当時は今ほど円安じゃなかったので、輸入諸経費など色々含めて乗り出しで200万円くらいでした」。でも現車を見ないと不安では?「写真だけで選ぶので、ちょっと不安もあったけど、年式も年式なのである程度は覚悟して踏み切った」のですが、賭けでしたね。幸いに届いたクルマは、ほぼ想定内の状態で賭けには成功。これからカスタムの日々が始まりました。
まずはエンジンですが「エンジンスワップして乗せたのは2008年式のシビックのエンジンで、これもアメリカ仕様のエンジンで日本にはない型式です。イメージとしては、エンジンがダメになったからアメリカで載せ替えたよ、的なストーリーにしたかったから。もちろんツインカムでi-VTECです。これにCT engineeringのスパーチャージャーを組み合わせました」。さらには、モールやガラスなどは入手可能なものはすべて新品にかえ、ボルトも新品に。オリジナルでは黒だったボディは、ポルシェ純正のサファイアブルーでオールペン。
とまあ、手間もお金もかけてます。ここまでエネルギーを注げるのは「これまでは普段も乗る前提だったので、いじるときもどこかで線引きをしてやり切った感がなかったんです。思い切ったことができなかった。いまは年も年なので、普段使うクルマも用意できるから、一回くらいは振り切ったクルマを作ってみたいなと」思ったから。
現時点でも小林さんの中では「形としてはほぼできたかな、といったところ。後は細かな点で、たとえば油圧式だったパワステは外しちゃったので電動パワステを付けるとか、エアコンも外したので電動エアコンをつけるとかですね。電動にするのはシンプルなのでスッキリするし、油圧のように油漏れを心配しなくても良いから。最後にエンジンの公認を取れば車検が取れるし、公道を走れるようになります」。現時点では公道は走れないので、こうしてインベントに出したりクローズドの敷地でちょっと動かしたりが精いっぱいなのです。早く好きに公道が走れるようになると楽しいですね。
かなりクルマ趣味に入り込んでいるようですが、奥様もクルマが好きとのことで「事後報告で理解してもらえてると勝手に思ってる(笑)。今日も付き合ってもらえたし」とご夫婦で楽しまれているようです。