アップガレージが4輪だけじゃないことは知っているよね。アップガレージには「ライダース」というバイク乗りの強い味方となる専門店がある。そんな専門店に通うオーナー達も紹介しようというのがこのコーナーなのだ。
1998年7月に発売されたレトロ風スタイルの原付スクーター。車体はアンダーボーン型フレーム。デザインは、ラビットなどの1960年代風を取り入れて、フロントフェンダー一体型レッグシールド、車体後方の側面の大型カバーなどを特徴とした。デビュー以来、限定モデルが何度か出たが、2輪車エンジンの4ストローク化に伴い2002年で終了した。
*ラビットは富士産業(現スバル)が1946年に発売したスクーター。初代S-1型から改良を重ね、最終的には1966年発売のラビットハイスーパーS-211A型(1968年生産終了)になる。いち早く時代の波に乗ったが、その後ホンダのスーパーカブなどの出現でその役割を終えた。
今回ご登場いただいた石川さんの愛車は、一見すると昔懐かしいラビット。しかし、その正体はホンダのジュリオなのです。もともと「クラシックなクルマやバイクのデザインが好きで、かつてはビートルのType1やスバル360に乗っていた」こともあるという。興味の主流がバイクになっても好みは変わらず、ジュリオを購入。しかし、どうしてもラビットが気になって「ジュリオもラビットを手本にしたようなスクーターだったけど、やはり本物のほうがカッコいいから変えちゃえ」となったのです。
石川さんの中では、ラビットの記憶は「子供のころ、近所のお寺のご住職が乗っていた」風景。昭和の時代の半ばまで、庶民の足は自転車がスタンダードで、スクーターやバイクはお寺さんやお医者さんの乗り物だったのです。ラビットは昭和21年(1946年)に富士重工が新発売したスクーターで、映画「三丁目の夕日」の中で三浦友和さん演じる医者、宅間先生が乗っていたのもそう。ちなみに宅間先生のラビットは昭和30年(1955年)発売のS-71型の改良モデルでした。
ラビットを買う手もありましたが「本物は高いし、オリジナルを買うと大事にしたいからいじれないなと思って、ならジュリオの皮をラビットに変えちゃおう」と結論。ラビットのパーツはオークションに色々出ているので、「一度に外皮すべてをそろえるのは無理だけど、少しずつ集めて、揃った段階で交換作業」。もちろんご自分で作業を行いました。車高を落として、ホイールベースも延長。したがってサスも全部作り直して似せたのです。荷台の木箱も「合うのがないから自分で」作ってます。さらに塗装は「ボディを組んでから、以前の塗装をすべて剝がして再塗装、それからレトロ感を出すためにわざと錆加工をした」というこだわりよう。
このスクーターは、街中に停めておくと写真を撮る人や話しかけてくる人が現れるくらい注目されるそうです。車名を正しく知っている人はいないようですが、皆さん映画を見たのかも…、ですね。
ところでバイクいじりが趣味で、現在は他にもカブ、シャリーをお持ちの石川さんは、「自宅からの行きやすさで、ライダース店はこの本店か平塚店によく来ますね」というお得意様。取材当日もパーツを探しに来店されたそうで、ずいぶん長い間、ライダース店にこもっていらっしゃいました。
昔から休みの日は年中バイクをいじっていたから、家族から見ると僕はバイクをいじってるのが普通の状態(笑)。それ用に自分で小屋(ご本人談)を作ってあるが、3台置くともういっぱいいっぱいという。
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