安定しない天気に振り回された84周のレース
10番手スタートから手堅くポイント獲得を目指すが惜しくも11位に
SUPER GTシリーズは今回の菅生が第6戦で、チャンピオンシップ争いも佳境です。この菅生に向けて#18はセットアップを多少変更してきたのですが、午前中の練習走行からドライバーの感触は良いものでした。
午後の予選Q1はAグループに入り太田格之進選手が担当します。まずはQ1突破が目標になりましたが、ここを太田選手は2位で通過!4周目に練習タイムを大きく上回る1’18.288を出して2番手に飛び込みました。
間にBグループ、500クラスのQ1をはさみQ2が始まります。Q2は小林崇志選手がドライブ。Q1を通過した16台でのPP争いだけに厳しい戦いが予想されます。ここで#18は4周目に1‘18.429を記録して12番手に。タイヤのピークに合わせるタイミングが少しだけズレた様子。これでQ2は終了しましたが、1台がグリッド降格処分を受けたため、決勝は11番手からのスタートになります。
前日の予選の結果で12番手に入った#18でしたが、その後グリッド降格処分などが出たため10番手スタートに繰り上がりました。年間のランキングを考えると、何としてもポイントを持ち帰りたい#18にはちょっとだけラッキーなことに。
決勝レースは日曜日の14時スタート。菅生サーキットを84周し300㎞で競われます。決勝前の時点では気温27度、路面温度33度とのアナウンスがありましたが、気になるのは天気の状態。レース中盤から雨になるとの予報が出ていましたが、スタート前にはポツポツと感じられる程度に降り出してきました。各チームはタイヤ選択の再考を迫られましたが、雨はすぐに上がったため結局はドライ用のタイヤでスタートを切ることに。#18のスタートドライバーは太田格之進選手です。
ウォームアップランが終わり決勝レーススタート!500クラスに続いて300クラスの全車が一斉に1コーナーに突入します。1周目に早くもクラッシュがありSC導入に。4周目にレースは再開されバトル開始!レースが動き始めたのは10周のころ。雨が降り始め14、15周目には完全にウエット状態に。タイヤ交換にピットインするチームが増え、#18も15周目にピットインしレインタイヤに交換します。ここは14番手でコースに復帰。
この後はタイヤ交換にピットに入るチームが随時出てくるため順位は頻繁に動きます。#18は32周目に2度目のピットで小林崇志選手にドライバー交代し、ルーチンの作業を行ってコースへ。レースの折り返しポイントの40周ころになると雨が上がりますが、コース上は濡れたままの区間もありまだら状態で走ることに。#18は43周目にタイヤ交換のため3度目のピットへ。ここからコースに復帰した時は20位でしたが、50周になるころには11位まで浮上。しかし10位との差は17~18秒あり逆転は難しい状況だったため、ポジションキープし結局11位でレースを終了。残念ながらポイントは逃してしまいました。
300クラス優勝は13番手スタートの#2で、PPスタートの#61は8番手のゴールになるなど、天候の影響でタイヤ戦略やピットインのタイミングが狂う大荒れのレースでした。
Q1は小林選手が2位通過しQ2は太田選手で11位に
決勝レース直前のトラブルでピットスタートから追い上げるも無念の19位
SUPER GTシリーズは、このオートポリスを含めても残りは2戦。今回のレースではサクセスウエイトが半減され、TEAM UPGARAGEのNSX GT3は78㎏が39㎏に。ウエイトを積む上位陣はすべて同じ扱いなので、よりシビアな戦いになります。
午後の予選Q1はAグループに入り、小林選手が担当。走行開始のランプと共にコースイン。#18に乗る小林選手は3周目にアタックして1‘44.233で、この時点での暫定トップに立ちます。しかし、その後1台に上回るタイムを出されて2位に。それでも十分な位置でQ2進出を決めました。
Q2は太田選手がドライブ。ルーチンの作業でタイヤを温めた後。4周目にアタックしました。セクター1ではトップのマシンとほぼ同等のタイムでしたが、セクター2などで少しリヤが流れる場面があり微妙にタイムをロスしてしまいます。最終的には1‘44.361と11番手で終わりました。アタックのタイミングが微妙にズレてポテンシャルを出し切れなかったようです。
ランキングの浮上を期したオートポリスでしたが、#18は今回のレースを19位で終わりました。11番手スタートであればポイントを十分に狙えるポジションなのですが、決勝前にトラブルが発生しピットスタートになってしまったのです。
というのは、決勝レース前のウォームアップランの最後にエアジャッキが故障したことが判明。メカニックは懸命に作業したものの、ある程度は時間がかかるのでピットスタートを選択。これは全車がスタートしてからピットロードを出るので、つまりは最後尾です。スタートドライバーは太田格之進選手でしたが、最後尾の27番手から始まったレースでプッシュを続け、途中FCYなどがありましたが、徐々にポジションを上げて20周目になるころには21位までアップします。
64周のレースの1/3を過ぎるころからピットインが始まり、#18は28周目にピットインして小林崇志選手と交代、ルーチンの作業を行い復帰しましたが、続けてもう1回ピットへ。このタイミングでドライブスルーペナルティを消化したのですが、これは先のFCY中に減速違反を取られたためです。結局2回のピットになり、通常は1回のピットで済ませる300㎞のレースなので、プラス1回分のハンディは大きく約30秒は遅れることに。最終的にこれが大きく響いて、小林選手のプッシュにも関わらず19位でゴールを迎えました。予選からマシンのバランスは良かったので上位でのフィニッシュを期待しましたが、なんとも残念な結果で終わることになりました。
Q1は小林選手、Q2は太田選手が共にコースレコードを更新
フロントローからのスタートで今季最終戦を飾れるか?!
いよいよシーズン最終戦となるもてぎ300㎞レースです。SUPER GTのルールでは、最終戦はそれまで積み重ねてきたサクセスウエイトがゼロになるガチンコのレースです。
予選開始は午後2時20分から。TEAM UPGARAGEの#18はBグループになり、Q1は小林選手が走ることに。13台がコースイン。小林選手は丁寧にタイヤを温めてアタックすると、なんとコースレコードの1‘45.351を記録し1位で突破です。
Q2は太田選手が走りますが、ここでアクシデントが発生。いち早くタイムアタックを開始したマシンがクラッシュして赤旗中断に。数分で再開されたもののタイヤは冷えてしまい、再開後に微妙な差が出たのです。
再開後のアタック時間は5分間。太田選手は1周温めただけでアタックして1‘45.121とこの時点でダントツの1位タイムを出しました。しかしこれで決まりかと思った時に、最後にアタックした#55が1’44.798を出してPPに。悔しい2位です。しかし明日の決勝はフロントローからのスタート。最低でも表彰台、もしくはそれ以上を狙える好位置です。
3年ぶりにもてぎで最終戦が開催されるとあって大勢のファンが詰めかけたレース。決勝直前で気温16度、路面温度27度でしたが、日差しが強くこの後も気温は上昇して、ハード系のタイヤを選択したチームにはうれしい天候です。TEAM UPGARAGEのNSX GT3#18はフロントローからのスタートに。スタートダッシュを決めて逃げ切る作戦です。
決勝のスタートは午後1時、#18のスタートドライバーは小林選手。2番手スタートからトップにピタリと付いて狙っていき、1周目の3コーナーでオーバーテイク。トップに立つと、この後はひたすら逃げに入り、ここまではほぼプランどりでした。
レースは500クラスと300クラスが入り混じってきた9周目に複数台が巻き込まれる衝突事故が発生。フルコースイエロー(FCY)が宣言され、さらに10周目にはセーフティカー(SC)が導入される事態に。この後13周目に今度はホームストレート上で追突事故が発生し、SCが継続されました。
レース再開は20周目。このあたりからピットインするマシンが出始め、#18は25周目にピットイン。ドライバーは太田選手に交代し、給油、タイヤ交換など行ったが、ここで異変が。ピットからの再スタートに時間がかかり、コースに復帰した時には14位に。まだ暫定順位でしたが、優勝争いからは脱落してしまいました。ただ、ここから猛烈にプッシュして行き、53周からの4番手をかけた#10とのデッドヒートが圧巻でした。積極的に前車に仕掛けていき、54周目のヘアピンでオーバーテイクして4位に浮上。しかし、残り周回数と3位とのタイム差を考えるとここまで。4位でゴールして今季は終了しました。
今季は開幕戦で2位、第4戦では3位表彰台に上り、この時点でドライバーランキング3位につけて年間チャンピオンを狙える位置にいました。しかし第5戦以降ノーポイントが続いてしまい、そのまま最終戦に。この最終戦では優勝が目の前にありましたがつかみ取ることはできませんでした。とはいうものの、今年は明らかに速くなっており、昨年までとは違うステージで戦えるようになりました。結果としてドライバーランキングは8位、チームランキングは7位でシーズンを終わります。ここまで皆さんの応援を励みに戦ってまいりました。ご声援に感謝すると同時に来年もまたよろしくお願いいたします。
【石田誠監督】
惜しいレースだった。トラブルで、途中までトップを走っていながら優勝争いから脱落して4位に終わってしまった。今年はいくつか取れる(優勝できる)レースがあったけど、でも取りこぼしてきた。上位のチームは勝てるレースを取りこぼしたりしない。我々がそうできていれば今回優勝争いに絡む状況でこれたんだけど…。取りこぼしをする、詰めの甘いところがウチにはある。来年はそういうところをきちんと直してこなきゃいけないと思っています。
【小林崇志選手】
勝てたレースだった。今日は最後のレースだから、1年のうちで一番良いレースをしなければいけなかったのに。でもああいうトラブルが出ちゃうと、それもできないから凄く残念です。悔しさしかない。スタートしてからノートラブルで走り切る“強さ”という点で、まだ足りないところがあることが見えた1年でした。そこを改善しないとチャンピオンは取れないから、みんなで力を合わせて改善してきたいと思います。
【太田格之進選手】
最後に追い上げて4位まで行けたのは良かった。レースペースは良かったから、正直、勝てたと思う。トラブルがなければと思うと、悔しいです。今年初めてSUPER GTに上がっりましたがすべてのレベルが高くて、こんなに緊迫感のあるレースはそうはないから勉強になったし自信もできました。このチームで学ばせてもらえて、表彰台にも2回乗れたし、今日も勝ちたかったけど、いい経験ができました。
【上城直也チーフエンジニア】
最後のギャップ(の詰め方)だけ見たり、太田選手のペースを見ていると勝てたレースだったなと。残念です。ピットで時間がかかったのはクラッチのトラブルでした。「たられば」ですが、ゴール時点でのタイム差を見ると、あのロスタイムがなければ優勝もあったなと思います。今年は1年を通して予選での速さも見せられたし、レースペースも良かったので、クルマのパフォーマンス面でいえば集大成的な感じで良い面を見せられたと思います。来年に向けての良いデータ取りはできたので、来年はどのような体制でやるかわかりませんが、来年につながる1年でした。土台はできたと思います。
開催日程 | 大会名 | 予選Q1 | ドライバー | 予選Q2 | ドライバー | 決勝 | ||
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Rd.1 | 4月16・17日 | 岡山国際サーキット | 300㎞ | A-2位 | 小林 | 4位 | 太田 | 2位 |
Rd.2 | 5月3・4日 | 富士スピードウェイ | 450㎞ | B-10位 | 太田 | - | - | 13位 |
Rd.3 | 5月28・29日 | 鈴鹿サーキット | 300㎞ | A-12位 | 小林 | - | - | リタイヤ |
Rd.4 | 8月6・7日 | 富士スピードウェイ | 450㎞ | A-3位 | 小林 | 5位 | 太田 | 3位 |
Rd.5 | 8月27・28日 | 鈴鹿サーキット | 450㎞ | A-6位 | 太田 | 7位 | 小林 | 14位 |
Rd.6 | 9月17・18日 | スポーツランドSUGO | 300㎞ | A-2位 | 太田 | 11位 | 小林 | 11位 |
Rd.7 | 10月1・2日 | オートポリス | 300㎞ | A-2位 | 小林 | 11位 | 太田 | 19位 |
Rd.8 | 11月5・6日 | ツインリンクもてぎ | 300㎞ | B-1位 | 小林 | 2位 | 太田 | 4位 |
500クラスはカルソニックIMPUL Zが、
300クラスはリアライズ日産メカニックチャレンジGT-Rがチャンピオンに!
500クラスは第7戦終了時点でランキングは#3、#12、#17の順だった。数ポイント差なので、どこがチャンピオンになってもおかしくない状況だった。しかし優勝したのは#100、#12が2位になり年間チャンピオンを獲得。#3,#17は後半追い上げたが惜しくも及ばなかった。
300クラスでは#56、#61、#10のランキング順で最終戦に臨んだが、予選で#61がクラッシュして脱落。#56もトラブルで後退したが、#10が後半ペースダウンで後退した結果ポイントを逆転できず、#56がチャンピオンになった。