アップガレージが4輪だけじゃないことは知っているよね。アップガレージには「ライダース」というバイク乗りの強い味方となる専門店がある。そんな専門店に通うオーナー達も紹介しようというのがこのコーナーなのだ。
1972年に川崎重工がヨーロッパおよびアメリカ市場向けに開発した輸出専用モデルの型式名。正式名称であるカワサキ900Super4よりもZ1という型式名のほうが広く認知され一般化している。1960年代の川崎重工は、大型バイクと言えば2ストロークのマッハIIIだけで、4ストロークはW1しかなかった。しかし1969年にホンダがCB750FOURを発売。対抗上カワサキも900㏄エンジンを積んだこのZ1を発売するに至った。
思わず目を見張るほどの見事なレストアで仕上がったカワサキZ1は持田さんがオーナー。それにしても、これほどの仕上がりのZ1は久しぶりに見ました。持田さんがこのバイクを購入したのは、3年前に中型と大型免許を一度に取った時。バイクはもともと好きで「16歳になって原付免許を取ってスクーターとか乗ってましたが、社会人になって結婚したりで一時期はブランクがあったんです。それがいろいろあって自由になったのでまた乗ろうと。中型と大型免許を取って、乗るならZ系がいいなと思っていたんですが、ちょうどこのバイクと出会って」買うことに。
探したころは、ちょうどオールドバイクが注目を集め始めたころで値段が上がる直前だったという。それでも「国産の中型車の新車1台分は優にしました」というが、今ではその2倍程度には上がってしまっているという。このバイクは1974年製と古いので、もちろんレストアはキッチリ行っています。探しているときに「あるバイクショップから、いまレストア中のが1台あると教えられて、じゃあということで見ないで買うことを決めてしまったんです。かなりボロボロの状態だったけど、それからいろいろ希望を伝えて、色を黒にしてもらったり」とレストアに時間をかけたのです。
常に手元にある今は、「普段はちょこちょこ乗るくらい。コロナもあってなかなかツーリングなどのチャンスが来ないので、一人でちょっと出かけるくらい」という。それでも「久しぶりにバイクに乗ると、やはり楽しいですよ。旧車に憧れていたので、一層楽しいですね」と、バイクライフを満喫中。
このバイクを探すときには、Z系は第一希望だったが、実はほかのバイクも検討はしたとのこと。「70年代、80年代はバイクメーカーが元気に競っていたころで、これも人気のバイクだったけど、CBX1000も考えたんです。6気筒の特徴的なエンジンを積んだバイクですから。でも壊れると部品が少なくて苦労するという話を聞いて。その点、こちらは台数もそれなりに出ているから部品も探しやすい」とのことで決定。
買ってからも少しづつパーツは変えてきており「ホイールをかえて、ブレーキ、リヤサスも変えてあります。ほかにも乗っている人間にしかわからないような細かな部分を変えてますね」と、ちょっとづつ理想に合わせているのです。それにしても今ではレアなバイクだし、フルレストアした状態の良さは人目を惹きます。「今日も、ここに来る途中で信号待ちの時に隣に止まったおじさんから話しかけられた」らしい。
ところで持田さんはクルマも大好きなのです。今はC-HRですが、かつてはVIP系が好みで「セルシオ2台、アリストと3台ほど乗りました。最初のセルシオには1,000万円くらいつぎ込んで雑誌に取材されるくらいいじってました。やりだすと止まらなくなっちゃうんです(笑)」という性格らしいのです。が、今はクルマは落ち着いてバイクに関心が向いています。なのでライダース店にもちょこちょこ来店されるというが「今のバイクのパーツはそうそう出るものでもないから。でもいろいろ見るのが楽しいからつい来ちゃいますね」とおっしゃっていただけました。
マニア憧れで今や貴重品のバイクでもあるZ1なので、保管には気を使っている。幸いシャッターが閉まるガレージがあるので、とにかく見えないように保管するという。
埼玉県戸田市笹目北町10-22
048-421-5100